AI処理を組み込んだ業務改善その2(事務所・工場間の情報共有)

前回までは、発注書をOCRとChatGPTで読み取り、販売管理システムに自動入力する仕組み、そして紙で郵送していた請求書の自動配信のお話をしてきました。

今回はその流れの続きとして、**発注書の情報を工場のメンバーへ自動で共有し、事務所と工場の間で「情報のタイムラグゼロ」を実現した仕組み**をご紹介します。

*紙の発注書が抱えていた課題**

久保熱錬様では、以前ご紹介したように、顧客から届く「紙の発注書」を受け取った後の処理はすべて手作業でした。多くの発注書は熱処理対象物に添付され、そこに注意事項や作業指示が書き込まれています。

事務所側は請求書作成のために注文書の情報が必要ですが、工場側はその注意事項をリアルタイムで把握したい。しかし両者の情報共有は紙ベースで、どうしてもタイムラグが生じていました。

**スキャンするだけで工場へ即共有できる仕組みを構築**

そこで今回の改善では、**発注書をスキャンすると、その情報が瞬時に工場へ共有される仕組み**を作りました。

この仕組みの中心は **タブレット端末と kintone** です。

私は、工場内の目立つ場所にタブレット端末を設置し、常時 kintone の画面を表示しておくことを提案しました。

タブレットはWi-Fiにつながっており、工場メンバーは画面を見るだけで「今どんな依頼が来ているか」をリアルタイムに確認できます。

一方で事務所側もPCから同じ情報を確認できるため、「誰が、どの発注書の作業に着手し、どこまで進んでいるのか」** を自然と共有できるようになりました。

**AI・OCR で読み取ったデータを kintone に自動登録**

kintoneは外部システムと連携するAPIが充実しています。

今回のプロジェクトでも、OCR+ChatGPTで読み取った発注書の情報を、販売管理用データとは別に **kintoneへ自動登録** する仕組みを作りました。

この処理全体は Power Automate Desktop で一連のワークフローとして構築し、

「発注書をスキャン → 情報抽出 → 工場へ自動共有」という一気通貫の動きを実現しています。

**今回のDXのカギは「インターネット・クラウド・AI・ワークフロー」

私自身、今回のシステム化で改めて実感したのは、

DXの本質は「インターネット上でデータを扱い、必要な場所に必要な形で届ける仕組みを作ること」だという点です。

1. 社内外のデータを「インターネット上のオブジェクト」として扱う

2. AI(今回はOCR+ChatGPT)を使い、アプリ(Python)で情報としてまとめる

3. ワークフローツール(Power Automate)で目的地へ送り届ける

4. 販売管理システムやkintoneなど、使う人が一番見やすい形に変換して表示する

という流れで、業務が自然とつながるようになります。

AIの普及により、今では高度なプログラミング技術がなくても、**信頼性の高いアプリケーションを短期間で構築できる時代**になりました。

**中小企業でも低コストで十分にDXは実現できる**

「DX!」と言うと大げさで高額なものに聞こえますが、実際にはそんなことはありません。

特に中小企業であれば、「数百万円もの大掛かりな投資は必要なく、安価で使いやすいシステム」が作れる時代です。

あなたの会社でも、業務に合わせて小さなところからDXを始めることができます。

ちょっとした改善でも、生産性や情報共有のスピードは驚くほど変わります。

**あなたも社内のDXに挑戦してみませんか?**

ITによる業務改善は難しいものではありません。

インターネットとクラウド、AI、そして少しの工夫があれば、あなたの会社でも「働きやすさ」と「効率化」を同時に実現できます。

\ 最新情報をチェック /