技術だけに頼らないで入力文字数を減らす。そのためのプロトタイプ
今まではこのブログで、電子化を支える元となるIT技術中心に、医療現場での業務の効率化についての私の意見をお話ししてきました。
業務のシステム化を考える上で、どのようなテクノロジーを土台にするかはすごく重要だとは思います。
しかし私はもう一つ大切なことがあるのではと感じています。
それは、システム化をする時に入力方法そのものを見直す事です。
システム化をするにあたり、よく言われるのは、紙の現行の入力用紙を見せられ、「これと同じ画面にしてください」というご依頼です。
ITエンジニア目線で見ると、紙の入力様式でよくみられるのが入力データ特性によるパターンがあります。今までの私の経験では、それらは以下の通りです。
- 単純な氏名、生年月日、年齢、割り当てられた番号等基本的な情報
- 感想や意見など、どこからも引用しない長い日本語文章
- ほぼ1行で終わるような短い日本語(所見等の記載)
- ○×のような選択肢
- 短いが医薬品名のような、特に正確に記述する必要のある単語(?)
- バイタルデータのような数字
- 常に実施日付時刻とペアで記入しないといけない記録
そして現場では、当然ですが業務は複数の小さな業務から構成されていて、単純に1枚の入力用紙で完結することはほとんど無く、大きな業務を完結するために複数の入力用紙が関連するケースがざらです。
例えば、看護士の皆様は患者様を日々ケアするわけですが、まず医師の作成する診療計画に従い、看護計画を作成しそれに従って、日々の看護をしながら看護記録をつけていきます。
看護計画と看護記録は異なるデータを入力する物なので、当然入力用紙は違いますが、看護記録用の用紙も紙での入力のため、入力するデータの特性を理由に、複数の異なる入力用紙から構成される場合があります。
(例えば長い所見や、現状に対する問題点、解決策案等を自分の言葉で記載する場合、別用紙になっていることがあります)
看護計画・看護記録の入力が全て紙の用紙に記載される場合は、記載する側はふつう単純に用紙の上の方から記載していくと思います。
看護計画・記録の入力をシステム化した場合、電子化された看護計画書は看護記録を書く際に、簡単に参照できるか、あるいは看護記録の入力画面に看護計画の関連する項目をコピーするなんてこともできます。
また、紙の様式では、単純に入力欄を空白にして、そこに長い日本語を入力する形式にしていることも良く見られます。
システム化する場合、今まで単に空白の欄に長い日本語を入力していた作業を、そこで書くべき内容を「記入すべき項目」に分けることで、複数の短い日本語入力あるいは選択入力にできるケースもあります。
また、その個所は医療の教科書のような本でよく記載されている文章で代替し、そこに記載者本人が補足コメントすればいいケースもあるかもしれません。この場合は、やはりこの本に記載された文章を定型文章として登録しておき、そこから選択すればいいようにすることもできます。
このようにシステム化することで、個々の入力項目の入力方法が、紙の様式とは異なってくる場合が結構あります。
そうなると、今まで紙の用紙に入力していた手順とシステム化された画面に必要なデータを入力する手順は必ずしも一致しない場合が出てきます。
私が考えるのはやはり現場の担当者の方が、どのような流れで入力するのが一番良いかという事です。
ただ難しいのは、このような事を言葉だけで説明してもユーザーには、なかなか納得していただけません。やはりある程度プロトタイプで作成し、目の前でやって見せて実際に業務としてスムーズに流れるような入力欄の構成と画面を作る必要があると感じています。